なぜ未成工事支出金(仕掛かり中の工事)は「取引のお金」ではなく「長期のお金」(ブロックII)に入るのですか?
カテゴリ: ブロックの意味
未成工事支出金は決算書では流動資産ですが、スタークボードでは棚卸資産の仲間としてブロックII「長期のお金」の運用側に置きます。
理由: 引き渡すまで動かせない「寝ているお金」だから
仕掛かり中の工事に投じた材料費・外注費・人件費は、工事が完成して引き渡すまで現金に戻せません。明日お金が必要になっても、作りかけの建物は売れません。この「動かせない」という性質は、機械や建物と同じ固定的な資金の使い道です。
スタークボードは「いつ現金に戻るか(1年基準)」ではなく「そのお金がどういう性質で使われているか」で置き場を決めます。だから棚卸資産(在庫・仕掛品・未成工事支出金)はブロックIIです。
建設業のスタークボードが教えてくれること
工期の長い建設業では、未成工事支出金が大きく膨らみ、ブロックIIのマイナスが深く見えることがあります。これは表示の問題ではなく実態です——長期の資金が工事の仕掛かりに寝ている、という事実を映しています。
このとき必ずセットで見てほしいのが**未成工事受入金(ブロックIIIの調達側)**です。
- 受入金が厚い=お客様のお金で工事を進められている(健全な資金設計)
- 受入金が薄い=自分のお金(または借入)で工事を立て替えている(1本の大型案件で資金繰りが締まる構造)
利益と現金がズレる業種の代表格
建設業は「利益は出ているのにお金がない」が起きやすい業種です。売上の計上タイミング(完成基準・進行基準)と現金の動きは原理的に独立で、実際の資金繰りを支配するのは回収と支払いの差——つまり未成工事支出金・完成工事未収入金・未成工事受入金の増減です。
損益計算書の利益は「意見」、貸借対照表の現金は「事実」。スタークボードがBSから資金構造を読むのは、まさにこのズレが大きい業種で効果を発揮します。