格付け(AA〜D)はどうやって決まるのですか?
カテゴリ: 格付けの意味
格付けは、会社の財務の体力を貸借対照表(BS)だけで評価した6段階の成績表です。健康診断にたとえると分かりやすいです。
見ている3つの視点
| 視点 | 例えると | 何を見ているか |
|---|---|---|
| ① 蓄えの厚み | 体力 | 総資産のうち、返さなくてよいお金(純資産)がどれくらいあるか |
| ② 蓄積の伸び | 回復力 | 利益の蓄え(繰越利益剰余金)が直近の数期で増えているか・減っているか |
| ③ 借入への依存 | 持病の重さ | 総資産のうち、銀行借入など「返す義務のあるお金」がどれくらい占めるか |
各視点の採点方法(それぞれ100点満点)
① 蓄えの厚み(自己資本比率)
純資産÷総資産(=自己資本比率)で採点します。
- 50%以上で満点(100点)、0%で0点、その間は比例
- 例: 自己資本比率25% → 50点
- 純資産がマイナス(債務超過)の場合は、採点以前に無条件でDです
② 蓄積の伸び(利益の蓄えの増減)
利益の蓄え(利益剰余金)が前の期からどれだけ増減したかを、総資産と比べた割合で採点します。
- 変化なし=50点を真ん中に、総資産の10%分増えると100点、10%分減ると0点
- 例: 総資産1億円の会社が利益剰余金を500万円(総資産の5%)増やした → 75点
- 直近の期の変化を2倍の重みで見ます(直近を重視した3期の加重平均)。1年だけの好調・不調では大きく振れません
- ※決算書の登録が1期分しかない会社は、この視点は採点せず、残り2つの視点だけで合成します
③ 借入への依存(機関性負債の比率)
銀行借入など「返す義務のある調達」(短期借入金+固定負債)が総資産に占める割合で採点します。
- 無借金で満点(100点)、70%以上で0点、その間は比例
- 例: 借入依存35% → 50点
- 買掛金など商売上の支払い(取引のお金)は含めません。借入とはお金の性格が違うためです
合成のしかた: 平均点ではなく「弱点が効く平均」
3つの点数は単純平均しません。低い点数ほど強く引っ張る特殊な平均(べき平均)で合成します。
体にたとえると——心臓・肺・胃のうち2つが元気でも、1つが危険な状態なら「健康」とは言えませんよね。財務も同じで、弱点があるほど評価が下がる仕組みにしています。
具体例で比べると:
| 3つの点数 | 単純平均なら | この方式では |
|---|---|---|
| 80点・80点・80点 | 80点(A) | 80点(A)※弱点がなければ同じ |
| 80点・80点・20点 | 60点(BB) | 約35点(C)※弱点が支配する |
ただし救済ルールもあります。どの視点も25点未満には切り下げずに計算するため、弱点が1つだけなら最悪でもC止まりです。2つの視点が同時に致命傷だと、他が良くてもDになります。
6段階の意味
| 格付け | 目安 | 読み方 |
|---|---|---|
| AA(盤石) | 90点〜 | 蓄えが厚く借入依存も低い。理想的な状態 |
| A(健全) | 75点〜 | 健全。多少の逆風では揺らがない |
| BB(安定) | 60点〜 | 安定圏。ただし弱点の芽はある |
| B(注意) | 45点〜 | 弱点がはっきりある。放置すると悪化 |
| C(警戒) | 30点〜 | 複数の弱点が重なっている。改善計画が必要 |
| D(危険) | 30点未満 | 危険水域。債務超過の場合は点数に関係なく必ずD |
PL(損益計算書)は使いません
この格付けはBSだけで判定します。単年の利益(PL)は好不調で振れやすい一方、BSには創業からの経営の結果がすべて蓄積されているからです。「今年たまたま黒字」では格付けは良くなりません。利益を蓄え続けた会社が評価される仕組みです。