建設業の決算書は、実際にどの欄にいくら入れればいいですか?(1社分の入力例と解説)
カテゴリ: 科目名が一致しない
建設業の決算書を、スタークボードにそのまま入力する例を1社分お見せします。先に入力し終わった完成形を載せ、その下で科目を1つずつ解説します。
※ 株式会社みどり台建設は説明用の架空の会社です(第32期・2026年3月31日現在・単位は千円)。数字はミライストラクチャーの計算で現金預金が一致することを確かめてあります。
完成形(入力画面にこう入ります)
基本情報
| 入力欄 | 入力値 |
|---|---|
| 基準日 | 2026-03-31 |
| 貸借対照表上の現金預金 | 95,000 |
| 期数 | 32 |
| 単位 | 千円 |
ブロックI: 稼いだ履歴
| 側 | 入力欄 | 入力値 | 決算書の科目 |
|---|---|---|---|
| 集め方(+) | 利益剰余金 | 144,200 | 利益剰余金 |
ブロックII: 長期的なお金
| 側 | 入力欄 | 入力値 | 決算書の科目 |
|---|---|---|---|
| 使い方(−) | 有形固定資産 | 125,000 | 建物・構築物、機械装置(重機)、車両運搬具、土地の合計(減価償却後) |
| 使い方(−) | 無形固定資産 | 1,500 | ソフトウェア |
| 使い方(−) | 投資その他の資産 | 9,500 | 出資金、保険積立金、差入保証金 |
| 集め方(+) | ② 固定負債 | 77,000 | 長期借入金 72,000 + 退職給付引当金 5,000 |
| 集め方(+) | ② 固定負債の「+ 項目を追加」 | 18,000 | 1年内返済予定の長期借入金 |
| 集め方(+) | ③ 資本金 | 20,000 | 資本金 |
ブロックIII: 取引のお金
| 側 | 入力欄 | 入力値 | 決算書の科目 |
|---|---|---|---|
| 使い方(−) | ⑥ 売掛金 | 160,000 | 完成工事未収入金 142,000 + 受取手形 18,000 |
| 使い方(−) | 「+ 項目を追加」 | -1,800 | 貸倒引当金(マイナスで入力) |
| 集め方(+) | ⑦ 買掛金 | 110,000 | 工事未払金 88,000 + 支払手形 22,000 |
| 集め方(+) | 前受金(商取引の先受け) | 41,000 | 未成工事受入金 |
ブロックIV: 回すお金
| 側 | 入力欄 | 入力値 | 決算書の科目 |
|---|---|---|---|
| 使い方(−) | 棚卸資産(在庫・仕掛品・未成工事支出金) | 67,000 | 未成工事支出金 64,000 + 材料貯蔵品 3,000 |
| 集め方(+) | 短期借入金 | 30,000 | 短期借入金 |
ブロックV: 短期的なお金
| 側 | 入力欄 | 入力値 | 決算書の科目 |
|---|---|---|---|
| 使い方(−) | 前払費用(保険料・家賃等の期間配分) | 2,400 | 前払費用 |
| 使い方(−) | 「+ 資産項目を追加」 | 1,600 | 立替金 |
| 集め方(+) | 「+ 負債項目を追加」 | 9,000 | 未払金 |
| 集め方(+) | 「+ 負債項目を追加」 | 4,200 | 未払法人税等 |
| 集め方(+) | 「+ 負債項目を追加」 | 1,300 | 預り金 |
| 集め方(+) | 「+ 負債項目を追加」 | 2,500 | 完成工事補償引当金 |
| 集め方(+) | 「+ 負債項目を追加」 | 3,000 | 賞与引当金 |
入力するとこうなります
| ブロック | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| I 稼いだ履歴 | 利益剰余金 | 144,200 |
| II 長期的なお金 | (77,000 + 18,000 + 20,000) − (125,000 + 1,500 + 9,500) | -21,000 |
| III 取引のお金 | (110,000 + 41,000) − (160,000 − 1,800) | -7,200 |
| IV 回すお金 | 30,000 − 67,000 | -37,000 |
| V 短期的なお金 | (9,000 + 4,200 + 1,300 + 2,500 + 3,000) − (2,400 + 1,600) | 16,000 |
| 会社を支えているお金 | I + II + III | 116,000 |
| 会社を続けるお金 | I + II + III + IV | 79,000 |
| 現金預金(計算値) | I〜Vの合計 | 95,000 |
計算値の95,000が、決算書の現金預金95,000と一致すれば入力完了です。
1つずつ解説
ブロックI: 利益剰余金
決算書の純資産の部にある「利益剰余金」の合計をそのまま入れます。繰越利益剰余金と別途積立金などに分かれていれば、合計した金額です。
ブロックII: 固定資産と、それを賄う長いお金
- 有形固定資産: 建設業は重機・車両・資材置き場の土地が大きくなりがちです。決算書の有形固定資産の合計(減価償却を引いた後の金額)を1つの欄に入れます
- 投資その他の資産: 出資金(組合出資など)、保険積立金、差入保証金がここです
- ② 固定負債: 長期借入金と退職給付引当金を足して入れます
- 1年内返済予定の長期借入金: 決算書では流動負債に並んでいますが、中身は長期借入の契約の一部です。ブロックIVの短期借入金には入れず、② 固定負債の「+ 項目を追加」で明細として足します
- ③ 資本金: 資本金をそのまま入れます
ブロックIII: 工事の代金のやりとり
- ⑥ 売掛金: 完成工事未収入金は「引き渡したが、まだ入金されていない工事代金」=売掛金です。受取手形も同じ仲間なので合算します
- 貸倒引当金: 売掛金の回収不能に備える控除科目なので、同じブロックIIIの使い方に「+ 項目を追加」でマイナスの金額(-1,800)として入れます
- ⑦ 買掛金: 工事未払金は外注費・材料費の未払い=買掛金です。支払手形も合算します
- 前受金: 未成工事受入金は「完成前にお客様から受け取った工事代金」=前受金です。ブロックVの前受収益の欄には入れません
ブロックIV: 仕掛かり中の工事と短期借入金
- 棚卸資産: 未成工事支出金は「完成前の工事に投じたお金」=仕掛かり中の在庫です。材料貯蔵品と合算して、棚卸資産の欄に入れます
- 短期借入金: 銀行からの短期借入金・手形借入・当座貸越だけを入れます
- 未成工事支出金64,000と未成工事受入金41,000は、同じ工事に関係していても相殺しません。それぞれの欄に総額で入れます
ブロックV: その他の短いお金
- 前払費用は専用の欄、立替金は「+ 資産項目を追加」で入れます
- 未払金・未払法人税等・預り金・完成工事補償引当金・賞与引当金は、どれも「+ 負債項目を追加」で1行ずつ入れます
- 未払金と買掛金の違い: 工事原価になる外注費・材料費の未払い(工事未払金)は買掛金(ブロックIII)、それ以外の経費や設備代の未払いは未払金(ブロックV)です
間違いやすいところ
| よくある入れ方 | 正しい入れ方 |
|---|---|
| 未成工事支出金を前払費用やブロックVの明細に入れる | 棚卸資産の欄(ブロックIV)に入れる |
| 未成工事受入金を前受収益の欄に入れる | 前受金の欄(ブロックIII)に入れる |
| 未成工事支出金と未成工事受入金を相殺して差額だけ入れる | それぞれ総額で入れる |
| 1年内返済予定の長期借入金を短期借入金に足す | ② 固定負債の明細(ブロックII)に入れる |
| 貸倒引当金をプラスで入れる | マイナスで入れる |
この会社のボードの読み方
- ブロックIVが -37,000: 仕掛かり中の工事(未成工事支出金など67,000)を、短期借入30,000では賄いきれず、差の37,000を自前のお金で持っています
- 未成工事受入金41,000は、未成工事支出金64,000の約64%にあたります。仕掛かり中の工事の6割強を、お客様から先に受け取ったお金で進められている形です。受入金が少ない会社ほど、ブロックIIIのマイナスが深くなります
- 建設業は、未成工事支出金・完成工事未収入金・未成工事受入金の3つの増減で、現金の残り方が大きく変わります。毎期同じ入れ方で登録し、この3つの動きを比べてください